サクラ1000人以上に対してアマゾンが訴えを起こしました。
米国の大手オンラインストアーであるアマゾンが、今月10月19日にワシントン州シアトルにて、個人のサクラに対して訴訟を起こしました。その訴訟の内容とは、「サクラによる捏造や誤解させる内容のレビューの書込みにより、アマゾンのブランドとしての評判を著しく害した」という訴えで、今年の4月にサクラ業者を相手に訴訟を起こした内容と同等になりますが、今回は個人レベルのサクラに対してという異例の訴訟に踏み切りました。
アマゾンによると、1,114人のサクラが、Fiverr.comというサイトを通じて、依頼者がアマゾンセラーで販売している商品に対して、5つ星のレビューを投稿するという内容の仕事を募っていたと明らかにした。1000人を超える個人のサクラの本当の名前が判明していない為、”John Does(名無しの権兵衛)”という仮の被告人名で訴訟を起こしました。
ちなみにFiverr.comは、5ドルから仕事の受注発注が行えるオンラインマーケットプレイスで、執筆、翻訳、編集、デザイン、プログラミングなどがあり、フリーランスのような高いレベルの仕事よりも、手伝い的な軽作業の委託が多く募られています。しかし、Fiverr.comには、アマゾン、yelp(ローカルビジネス検索)、App Store内での売り上げ増加を目的としたサクラによる高評価レビューの仕事が多く、これらの捏造したレビューを欲しがるセラーの為のリソースサイトでもありました。
サクラのレビュー件数自体は、決して多くはないようですが、このようなサクラのレビューがあるとの認識をされてしまうと、アマゾンの信頼度だけではなく、アマゾンの売上にも影響してくると示唆していることを考えると、ブランドのイメージに対する損害賠償という事よりも、このようなサクラのレビューワー(評価する人)を減らすことが目的で、今回の訴訟に踏み切ったのではないかと推測されます。但し、Fiverr.comは訴訟の対象ではないようで、それどころかアマゾンと協力して、サクラのレビュー販売を謳った投稿を削除してきたと、Fiverrが明らかにしました。
今回の訴訟でアマゾン側は、サクラによる捏造のレビューを即時に止めることに合わせて、サクラのレビュー販売先、つまりはクライアント情報とそのレビューを開示することを、裁判所に訴えました。これは、恐らくサクラのレビューを購入したアマゾンと契約しているセラーに対して、何らかの訴訟又はアカウント閉鎖を視野に入れていると思われます。
サクラによる高評価レビューが与えるインパクト
とあるインターネットによる調査では、86%のインターネットユーザーが、レビュー評価の内容を見て、商品の購入を検討すると答えているくらい、レビューとは商品購入際の決断材料の大事なファクターであることが分かります。オンラインショップを運営している方であれば、お金を出してでも高評価なレビューが欲しいところではあると思いますが、大抵のオンラインショッピングモールでは、サクラによるレビューは厳しく禁止されているので、高評価レビューを謳ったサクラに頼んでしまうと、契約違反になってしまうので注意が必要です。
余談ですが、今回のトピックである「アマゾンが個人のサクラを訴える」の「サクラ」という語源を調べてみました。サクラ(漢字では「偽客」という当て字)は、江戸時代に芝居小屋で歌舞伎を無料で見せてもらう代わりに、芝居の見せ場を盛り上げるために、「○○屋!」などと掛け声をかける人をサクラと呼んだのが始まりの様です。諸説はいくつかあるようで、「芝居小屋で役者に声をかける見物人役(サクラ)は、パッと見せ場を盛り上げてサッと散ったから」というものと、「桜の花見はそもそも無料であり、サクラ行為をする見物人も無料で見れたから」等があります。明治以降になると、露天商などの売り子とつるんで客の中に入り、冷やかしたり、率先して商品を買ったりするような仕込み客のことも隠語でサクラと呼んでいて、その時サクラを「偽客」と書いていたのが広まったとされています。
0件のコメント
コメントはまだありません。